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2014年7月23日 掲載

野外での熱中症対策

薬剤師 女性の健康マイスター 加藤 明香

そのお悩み、私がお答えします!/ 薬剤師 女性の健康マイスター 加藤 明香

室内、室外ともに、熱中症になる方が増えています。7~8月の日中、真夏の熱帯夜などは特に注意が必要。
日常に潜む危険や予防の正しい知識を持ち、体調の変化に気をつければ熱中症は防げるもの。
暑い夏を安全に乗り切って、楽しく過ごしましょう!

熱中症になりやすい人の傾向

自分はもちろん、家族や身の回りに以下のような人がいる場合は特に熱中症に注意してください。

乳幼児

乳幼児の体温が高いのは、大人よりも新陳代謝が活発なためです。けれど汗腺の発達がまだ未熟でうまく体温調節をすることができないので熱中症に注意してあげなくてはいけません。また背が低いため、大人よりも地面からの熱を受けやすいのです。

例えば気温が32℃のとき、地面から50cmの高さでは35℃、5cmの高さでは36℃以上になります。乳幼児をベビーカーに乗せて外出する時は、大人よりも熱を受けやすいことをふまえて気を配ってあげてください。

乳幼児

高齢者

高齢になると脂肪がつきやすくなるぶん、体内の水分の割合が少なくなります。さらに高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくくなるため、水分補給が十分でないことも。

心臓や腎臓の機能も低下している方は、熱中症の症状が重くなりがちなのも注意したいところです。また、頻尿で何度もトイレに行くのを避けるために水分を控えている方が多いのも特徴です。

高齢者

その他にも・・・

肥満傾向の人、体力の低い人、すずしい場所で過ごすことが多く暑さに慣れていない人、運動や部活を始めたばかりの人、糖尿病や高血圧、心疾患、腎不全などの持病のある人、また以前に熱中症になったことのある人も注意が必要です。

その他にも・・・

熱中症の症状

症状は重度によって3つのレベルに分けられます。Ⅰ度程度であれば自分で応急処置ができますが、それ以上になると困難に。「これはまずい!」と感じたらただちに救急車を呼ぶか周りの人に伝えてください。

分類診断名症状重症度
Ⅰ度熱失神めまい、失神
炎天下にじっと立っていたり、立ち上がった時、運動後などに起こります。
脈は速くて弱くなります。
重症度
熱けいれん筋肉痛、筋肉の硬直
足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴うけいれん。筋肉痛、手足がつる症状も。
Ⅱ度熱疲労頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感
大量の発汗で水分の補給が追いつかなくなり、脱水状態に。
全身倦怠感、悪心・嘔吐、頭痛、集中力や判断力の低下など。
Ⅲ度熱射病Ⅱ度の症状に加え、意識障害、けいれん、手足の運動障害高体温など
体温が40℃以上になると脳機能に異常が起こり、体温調節ができなくなる。
命の危険もあるのでただちに救急車へ連絡を。

参考:熱中症環境保健マニュアル(2014年3月改訂版) 熱中症になったときには
http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual.html

野外での熱中症予防策

熱を作る働きと、熱を体の外に逃がす働き、この2つのバランスが崩れた時に熱中症が起こります。

①直射日光を避ける

特に日差しが強い日に外出する際は、帽子や日傘で直射日光を避けるようにしましょう。暑い日に屋外でスポーツをするならばできるだけ涼しい時間帯を選ぶこと。30分ごとに休憩を取って体の熱を冷ますことも大切です。

②水分補給は上手に、しっかりと

体に熱をためないようにするためにも、熱中症の予防はとにかくこまめに水分補給をすること。特に運動中は15~30分につきコップ1杯(約200ml)の水分補給を目安にしてください。

飲み方のポイント
飲み方 ポイント1

5~15℃に冷やそう!

体が一番吸収しやすいのがこの温度。真夏の環境下では水分の常温は約25℃なので、冷蔵庫で冷やしたほうがよいでしょう。ただ、冷たすぎると胃腸に負担がかかるのでご注意を。

飲み方 ポイント2

体が吸収しやすいものを飲もう!

0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml)と糖質を含んだものが効果的。スポーツドリンクはたいていこの割合で作られています。普段は水やお茶でかまいませんが、スポーツなどで汗をかく時には、失った塩分を補えるスポーツドリンクを。また緊急時や状況に合わせて経口補水液を飲むとよいでしょう。

③運動のバランスに気をつける

気温が急に高くなると、体はその暑さに慣れるまで約1週間かかると言われています。熱中症は体が気温の変化に慣れていない時に発症しやすいので、日頃から運動で汗をかく習慣がある人のほうが暑さにも対応しやすいのです。なので日頃から運動をすることも大切ですが、かといっていきなり無理な運動をするのもNG。暑さへの耐性は個人差がありますが、夏場にスポーツをする場合はバランスを考え、できれば涼しい時間帯に行うようにしてください。

こんな方は夏場の過剰な運動を控えましょう

④服装で体温をコントロール

体の熱の出入りをコントロールするには衣類選びも大切。暑い日は薄着にして吸湿性や通気性のよい素材を選びましょう。服の色は熱を吸収しやすい黒系よりも白系がおすすめ。スーツを着る時にネクタイをする場合はなるべく襟元をゆるめて、熱気がこもらないようにすること。炎天下に行く場合は帽子もお忘れなく。

高齢者は、室内での熱中症にも注意!

室内で熱中症を発症する方の多くが高齢者と言われています。特に風呂場や洗面所は熱気や湿気がこもりやすく、また上層階も熱がこもりやすい場所。また睡眠中はひと晩で約コップ1杯分の汗をかくため、環境によっては脱水症状になる危険性もあります。

高齢者が熱中症になりやすい理由って?

  1. その1 水分補給を控えがちトイレが近い、夜中にトイレに行きたくないなどの理由で水分を摂らないと、脱水症状を起こす場合があります。
  2. その2 体の水分が少ない年齢を重ねると、体内の水分量は徐々に減っていきます。そのためこまめに(朝起きてから寝るまでの間、1~2時間にコップ1杯程度)水分補給をしないと脱水症状を起こしやすくなります。
  3. その3 のどの乾きを感じにくい高齢で体の感覚がにぶくなると暑さを感じにくくなったり、のどの渇きを感じにくくなることも。のどがかわいてから飲むのでは手遅れの場合もあるので、早めの水分補給を心がけてください。起床時は、寝汗により水分が失われているため、水分補給するようにしましょう。
  4. その4 適切な飲み物を選んでいないコーヒーや紅茶、緑茶、には利尿作用があるカフェインが含まれているため、体の水分を外に出してしまうことに。お茶で水分を補給するなら、麦茶などカフェインが入っていないものを選んでください。アルコールも利尿作用があるためおすすめできません。
  5. その5 エアコンを節約しがち電気代節約のためにエアコンをガマンしすぎるのは危険。寝ている間に熱中症にかかる方も少なくないので、タイマーを利用して睡眠中も快適な温度を保つようにしましょう。
高齢者が熱中症になりやすい理由って?

野外の熱中症の対処方法

では自分や周りの人が熱中症になってしまった場合、その重度に合わせて対処をする必要があります。
自分で判断がつかない場合はただちに救急車を呼んでください。

異常の発生

まずはとにかく体温を下げることが第一。
風通しの良い日陰やクーラーが効いている室内などへ移動し、
氷や冷たいおしぼりなどで脇の下や足のつけ根、首を冷やします。
経口補水液やスポーツドリンクを飲んで脱水症状を防いでください。

涼しい場所へ避難し、
服をゆるめ体を冷やす

Check 1

意識がありますか?

水分・塩分を補給する

Check 2

水分を自力で摂取できますか?

回復
※ただ、容態が急変する場合もあります。
念のため医療機関の受診をおすすめします。

Check 3

症状がよくなりましたか?

医療機関へ

薬剤師 女性の健康マイスター 加藤 明香

上手な水分補給が発症を予防するカギ!

今回は主に室外での熱中症についてお話ししました。ただ外でも室内でも共通して守りたいのは、暑い日や夏場はこまめに水分補給をすること。水分ならばなんでもよいというわけでなく、飲むタイミングや温度、種類などを知っておくだけでもだいぶ熱中症予防につながるんですよ。家族の様子に気を配り、暑い季節も安全に楽しく過ごしましょう!!
糖尿病や高血圧の方が、熱中症対策として水分補給する場合は、薬剤師にお尋ねして下さいね。

参考文献:
大塚製薬 熱中症からカラダを守ろう 症状別の救急処置
http://www.otsuka.co.jp/health_illness/heatdisorder/care_02/
日本体育協会 熱中症を防ごう
http://www.japan-sports.or.jp/tabid/523/default.aspx
厚生労働省 熱中症予防のために
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/nettyuu_leaflet26.pdf
環境省 熱中症環境保健マニュアル (2014年3月改訂版) 熱中症とは何か、熱中症になったときには
http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual.html
武田薬品工業株式会社 症状・疾患ナビ 熱中症
http://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=netyusho
株式会社明治 ザバス栄養講座 夏バテ対策
http://www.meiji.co.jp/sports/savas/lecture/n9_3.php