
/ 薬剤師 健康マイスター 菅井俊作
おいしく食べるため、楽しく話すため、歯はとても大切です。歯を失う2大原因は何かというと、それは歯周病とむし歯。お口の中をいつまでも健やかに保つには、日頃のケアや気づきが肝心です。今回取り上げるのは歯周病。チェックリストもあるので、思いあたる症状があれば今以上にきちんとオーラルケアを習慣づけてくださいね。
年齢別にグラフを見てみると、歯ぐきに、歯周病につながる「歯周ポケット」がある人は30歳からその割合が増加しはじめ、60代まで増加し続けています。70歳以上になると歯周病で歯を失うため、数値も減少していることがわかりますよね。15~24歳でも約5%に所見があることから、歯周病は中高年だけでなく、若いうちからしっかりと予防をする必要があるんですね。

歯周病の主な症状は歯ぐきのはれ、出血、口臭です。軽度の段階ではあまり自覚症状がないケースもあるので、まずは以下の項目をチェックしてみてください。 1~2項目あてはまれば歯周病の可能性が、3~5項目なら歯周病が進行していることも考えられます。

歯周病は喫煙、糖尿病、ストレス等が発症の引き金になります。これらの生活習慣や病気は免疫力を低下させるため、口の中に常在している歯周病菌が増えてしまうことが原因です。徐々に進行し、歯と歯ぐきのすき間(歯周ポケット)が大きくなっていくので、重度になると膿が出て歯槽膿漏になったり、歯が抜けてしまうことも。早い段階で症状に気づき治療をすることが何よりも大切です。

口の中のトラブルだけではありません。
歯周病からでる毒素が心臓疾患や脳疾患の引き金につながることも!
歯周病菌は口の中だけでなく、体内の血管にも侵入します。
その毒素の刺激により動脈硬化を誘発する物質が出ると、血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)と呼ばれる血栓ができるため、血管が詰まります。
動脈硬化が進み血栓ができると心筋梗塞などの心臓疾患や脳卒中を起こすことは知られていますが、食生活やストレスだけでなく実は歯周病も原因のひとつ。動脈硬化を気にされている方は、血圧や体重管理はもちろん、歯周病の予防や治療も同時に行ってください。

歯周病の予防はもちろん、すでに症状を自覚している方にとっては治療にもなります。ケアを習慣づけてお口の中を健やかに保ちましょう。
普通もしくは、固めのタイプを使ってください。
歯肉が柔らかくなっている場合は柔らかいブラシを使ってください。歯周ポケットを磨くため、毛先が細いタイプを選ぶとよいでしょう。
歯並びがよく、ブラシが奥まで届くならばヘッドは大きめでOK。歯並びが悪い、あるいは念入りに磨く時間がある方は小さめのヘッドをおすすめします。
歯垢を除去するには正しい歯みがきを。歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)、歯と歯の間、奥歯の後ろ側、奥歯の噛み合う面、前歯の裏側は歯垢がたまりやすい場所。歯ブラシが当たりにくい部分でもあるので意識しながら磨いてください。
正しい歯磨きができていても、歯と歯の間には除去しきれない歯垢がたまることがあります。

歯周病を防ぐには、歯垢をしっかり除去するためのデンタルフロスや歯間ブラシが有効です。歯と歯の隙間が小さい場合に、デンタルフロスが、隙間がある場合には歯間ブラシが便利です。歯間ブラシは、隙間より少し小さめのサイズを選びましょう。口臭が気になる方は歯周病菌の発生を抑える液体リンスもおすすめ。ただこちらは歯垢を十分に除去することはできないので、1日1回程度の使用にしておきましょう。
喫煙者は歯周病になりやすく、悪化しやすいと言われています。口臭の原因を作らないためにも禁煙しましょう。
甘いものや柔らかいもの等、偏った食事は歯周病やむし歯の原因に。バランスよく食べることが大切です。
糖尿病が原因で歯周病になりやすいということは、歯周病も糖尿病を併発しやすいということ。糖尿病の方は治療に専念することで歯周病も改善されていきます。
自分だけではケアしきれない部分を年に1~2回、キレイにしましょう。これも大切な予防策のひとつです。