生まれたばかりの新生児は呼吸機能が未熟なため、呼吸が早い、呼吸のリズムが不規則、ゼーゼーと音がするといった症状が出やすい傾向にあります。

新生児は、一般的に1分間に30～60回程度の呼吸をしていますが、60回以上になると「多呼吸」と呼ばれ、呼吸が早い状態といわれています。

しかし、赤ちゃんの呼吸は睡眠や活動・暑さでも変化するため、呼吸が早いからといってすぐに身体に異常があると判断するわけではありません。

そこで今回は、新生児の呼吸が早いときに考えられる原因と、医療機関を受診するべき判断方法をメインに、赤ちゃんの呼吸について詳しく解説していきます。

大切な赤ちゃんに異変があったら不安になりますが、まずは落ち着いて、赤ちゃんの状況や環境を確認していきましょう。

呼吸が早い？新生児の呼吸数

呼吸機能が未熟な新生児は、成人よりも呼吸が早いです。

一般的に大人の呼吸数は1分間に12～20回ほどですが、新生児は30～60回程度も呼吸をしています。

暑いときや、活動した後だと呼吸数はさらに早くなります。

成人であるお父さんやお母さんより呼吸が早いと感じても、焦らずにまずは1分間に何回呼吸しているのかを数えてみてください。

新生児の場合、1分間に60回以上の呼吸をしていたら、原因を見極めて対処をする必要があります。

室温が暑すぎないか？
衣類の着せすぎや掛物のかけすぎはないか？
泣いた後や動いた後ではないか？
哺乳直後ではないか？

などを確認してください。

呼吸の数え方ですが、「吸って吐いて」で1回とカウントします。

赤ちゃんのお腹が膨らんでへこんだのを確認したら「1回」とカウントしましょう。

赤ちゃんの呼吸数を数えるときは、数えることに集中できるように、秒針の付いた時計や、スマホの時計機能を使うと計りやすくなります。

新生児の呼吸の特徴

新生児は腹式呼吸をしているので、呼吸するときにお腹が膨らんだりへこんだりするのが特徴です。

呼吸の早さや深さは、睡眠中か活動しているかによっても変動します。

また、新生児は母乳やミルクを飲んでいるときでも呼吸できるように、鼻呼吸しかしないのも特徴です。

呼吸に異常があるときの症状・考えられる原因

新生児は十分に呼吸機能が発達していないため、多呼吸や呼吸音がおかしくなるなどの呼吸器のトラブルが大人と比べて起こりやすいです。

以下で、新生児の呼吸に異常がある場合に出る症状と考えられる原因を紹介します。

症状1.呼吸が早い

新生児の呼吸が1分間に60回以上ある場合を「多呼吸」と呼びます。

しかし、身体が小さい新生児は、便秘やゲップが上手にできなかっただけでもお腹が張って、呼吸が早くなることもあるでしょう。

暑くて呼吸が早くなることもあるので、多呼吸でも慌てず状況や環境に問題がないかをチェックしてください。

呼吸が早いときは、体調不良や身体に何らかの異変が起きている可能性もあります。

体温は高くないか、手足の握る力や泣き声の力強さ、母乳やミルクを吸う力を確認し、心配なことがあれば医療機関に相談しましょう。

ただし、新生児は自分で症状を伝えられないので、母乳・ミルクを飲まない、呼吸が苦しそう、顔色が悪い、ぐったりしているといった症状があれば、すぐに医療機関を受診してください。

症状2.喘鳴がする

「喘鳴」とは、呼吸するときにゼーゼーと音が鳴る症状です。

呼吸機能が未熟な新生児は、大人よりも喘鳴が出やすいでしょう。

喘鳴の原因はさまざまで、よく喘鳴がする場合は、鼻やのどなどの空気のとおり道が細いことも考えられます。

ほかにも、飲んだミルクが食道まで逆流している、細気管支炎や肺炎になっているなどが原因として挙げられます。

喘鳴がある場合は医療機関で検査を受けて、きちんと原因を明らかにして治療しましょう。

症状3.呼吸が苦しそう

新生児が苦しそうに呼吸をしている場合は、肺炎以外にも髄膜炎や心臓病、代謝異常やホルモンの病気といった、さまざまな可能性が考えられます。

真っ赤な顔をして咳をする、ぐったりしている、顔色が悪い、唇が紫色になっているなどの症状がある場合は要注意です。

早急に医療機関を受診する必要があります。夜間であったとしてもすぐに診てくれる医療機関を受診するようにしてください。

症状4.呼吸が不規則

新生児の呼吸は、規則的な呼吸の後にしばらく止まるなど、不規則になりやすい傾向があります。

眠っているときに呼吸が不規則になり少しの間止まることもありますが、10秒以内に呼吸をするようなら正常の範囲内といわれています。

ただし、20秒以上呼吸が止まる場合は「無呼吸発作」とされるので、医療機関の受診が必要です。

ほかにも、呼吸するときに小鼻が広がる、呼吸すると胸がペコペコへこむなどのような症状があるときも医療機関を受診してください。

新生児はRSウイルスにも注意！

新生児の呼吸がおかしくなる原因の1つとして「RSウイルス」が挙げられます。

RSウイルスは風邪の症状を引き起こすウイルスです。

鼻水・咳・発熱の症状をメインに、ゼーゼーという喘鳴を伴った細気管支炎や肺炎の原因にもなります。

ほかにも、胸がペコペコとへこむ呼吸をする、呼吸が早くなるといった症状を引き起こします。

RSウイルスは1歳未満の乳幼児が感染すると重篤化しやすく、特に新生児の場合は、母乳やミルクを飲めなくなったり、チアノーゼ(顔色や唇・皮膚の色が紫色になる状態)、無呼吸発作を引き起こしたりすることもあります。

毎年、11月から3月の気温が低くなる時期に流行するので、1歳未満の赤ちゃんがいるご家庭は感染させないように対策をしてください。

冬場は風邪やインフルエンザも流行する時期なので、感染させないためにも赤ちゃんのまわりのものは、赤ちゃん用の消毒薬で消毒し、家族も帰宅したらすぐに手洗いとアルコール消毒をしましょう。

まとめ

新生児は通常1分間に30～60回程度呼吸しており、1分間に60回以上なら呼吸が早いと判断しましょう。

新生児の呼吸は、部屋の温度や便秘などの状況、睡眠や活動などでも変化します。

呼吸が早い場合は、まずは赤ちゃんの全身の状態、環境と状況を確認しましょう。

ただし、呼吸が苦しそう、体温が高い、母乳・ミルクを飲まない、顔色が悪いなどの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

また、新生児が呼吸に異変が出る原因として、風邪やRSウイルスのような感染症も挙げられます。

赤ちゃんがウイルスに感染しないように、普段から赤ちゃん用の消毒薬やアルコール消毒液を活用しましょう。

スギ薬局でも、赤ちゃん用の消毒薬や手指用のアルコール消毒液を販売しているので、スギ薬局アプリを活用してお得にお買いものをしてください。

【監修者情報】

坂田先生画像

坂田陽子

東京都内のNICUや産婦人科に勤務し、師長を経験。延べ3000人以上の母児のケアを行う。

現在は「すみれ出張助産院」を開業し、ご自宅で出産後の母児のケアを行う訪問型産後ケアや母乳育児相談を行っている。

https://sumire-josanin.com/