「気づいたら内出血ができていた」という経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。

いつの間にかできていることが多い内出血は、原因がわからないと不安に感じるものです。

この記事では医師監修のもと、内出血が起こる仕組みや原因、気になる病気の可能性について解説します。

不安に陥らないよう、正しい知識を身につけましょう。

さらに、内出血ができたときの対処法や、日ごろからできる対策も紹介します。

内出血が病気なのか不安に感じている方や、対処法が知りたい方はぜひ参考にしてください。

内出血が起こる仕組み

内出血とは、皮膚の内側で出血している状態です。

何かにぶつかるなど、外からの衝撃によって血管が破れて、内出血になります。

内出血を引き起こす主な原因として挙げられるのは、打撲や骨折、捻挫などです。

人間の毛細血管は繊細なため、少しの衝撃でもすぐに破れてしまいます。

このほかにも、内出血は採血や注射の針で起こることがあります。

この場合も外からの衝撃と同様、血管が傷つくことなどが原因で生じますが、針を抜いた後にしっかり止血するといった対処を行うことで、内出血を防ぐことができます。

内出血の主な原因

内出血の主な原因には、血液中の血小板と血液凝固因子によるケースが考えられます。

それぞれの原因について、以下で解説します。

血小板

血小板とは、血液を固める働きを持つ細胞です。

血小板は出血している部分に集まって固まる性質があり、出血した部分をふさいで血栓を作って止血する役割を果たします。

そんな血小板が血液の病気の影響などで少なすぎる場合、または多すぎる場合は、出血している部分を上手くふさぐことができません。

そのため、血管から出血しやすくなり、内出血に繋がることがあります。

血液凝固因子

血液凝固因子も、止血の過程に関わる物質です。

血液凝固因子はたんぱく質でできており、血小板が止血した後に、血栓全体を覆って止血する役割があります。

血液を固まりにくくする薬や病気によって血液凝固因子の働きが低下した場合、止血できずに内出血が起こりやすくなります。

高齢者が内出血しやすい理由

内出血は日常的に誰にでも起こる可能性があるものですが、特に高齢者には起こりやすいと聞いたことがあるかもしれません。

加齢とともに血管を保護しているコラーゲンや脂肪組織が減少し、皮膚は弾力を失い薄くなります。

また、血管も年齢とともにもろくなります。

血液がサラサラになる薬やステロイド剤を服用している場合は、特に内出血を起こしやすいです。

少しものが当たった程度でも内出血しやすくなるため、人によっては頻繁に内出血が起こりやすくなります。

加齢によって内出血が生じやすくなる状態を老人性紫斑といいます。

この場合、過剰に出血しておらずほかの疾患が見つからないのであれば、特に治療する必要はないとされていますが、心配であれば医療機関を受診して医師に相談しましょう。

ぶつけていないのに内出血する場合は病気の可能性もある

衝撃を与えてないのに頻繁に内出血が起こる場合は、何らかの病気を患っている可能性もあるため注意が必要です。

内出血に関係すると考えられる病気には、肝機能障害・血友病・アレルギー性紫斑病・白血病などがあります。

肝機能障害や血友病の場合、血液凝固因子を作り出す機能が低下するため、血管を修復できずに内出血が起こりやすくなります。

アレルギー性紫斑病で内出血が起こるのは、血管に炎症が起こることで血管の壁がもろくなり、血液が漏れ出しやすくなるためです。

また、白血病になると、骨髄内で正常な血液を作り出すことが難しくなり、血小板が減少して内出血しやすくなります。

このように、内出血はさまざまな病気との関連も考えられますが、内出血が病気によるものなのか、自分で判断することは困難です。

放置すると症状が悪化するだけでなく、ほかの病気を引き起こすこともあります。

身に覚えのない内出血がある場合や体調が悪い場合には、医療機関を受診しましょう。

内出血ができたらどうする？対処法や日ごろから意識したいこと

ここからは、外からの衝撃によってできる内出血の対処法と対策を紹介します。

また、前述のような病気による内出血が疑われる場合は自分で対処せず、医療機関を受診して医師にご相談ください。

対処法

打ち身など、外からの衝撃によって内出血ができたときは、すぐに氷や冷たいタオルなどで患部を冷やして安静にしましょう。温めると逆効果になるため注意してください。

次に、包帯を巻いて患部を適度に圧迫して保護しましょう。

内出血ができた部分を心臓より高い位置に上げると、内出血を抑えることができます。

数日後、内出血や炎症が治まってからは、患部を温めて血流を促すと良いでしょう。

内出血は時間の経過とともに自然に治るものですが、治りが悪い場合や痛みが強い場合は骨折や病気などの可能性があります。

長期間治らない場合にも、放置しないで医療機関を受診しましょう。

日々の対策

続いて、普段から内出血を防ぐために取り組める対策を紹介します。

まず、外からの衝撃を和らげるために普段から肌の露出を控えて、必要に応じて手袋や靴下を着用しましょう。

特に、運動するときはできるだけ肌を出さないことが大切です。

また、年齢を重ねるごとに皮膚が薄くなりやすいため、保湿クリームを塗って皮膚の乾燥を防ぎ、潤いと弾力をキープしましょう。

さらに、身体の内側から整えたい方は、血液凝固因子を作るために必要なビタミンKや、血管を丈夫にするビタミンCを積極的に摂るのもおすすめとされています。

ビタミンだけでなく、1日3食バランスの良い食生活を送り、身体全体を整えていきましょう。

まとめ

内出血は、打ち身など外からの衝撃によって起こるケースが多くあります。

いつの間にか内出血ができてしまう方は、生活のなかでぶつけていないか、一度振りかえってみてください。

もし内出血ができてしまったら、まずは患部を冷やして安静にしましょう。

外からの衝撃がないのに頻繁に内出血が起こる場合は病気の可能性もあるため、医療機関の受診をおすすめします。

内出血を保護するための包帯や、内出血を防ぐために保湿するクリームはスギ薬局でも取り扱っています。

内出血への対処のために必要なアイテムがある場合には、ぜひスギ薬局をご活用ください。

【監修者情報】

川上先生写真

かわかみ整形外科クリニック

院長・医学博士：川上洋平

神戸大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学に留学し、膝関節外科、再生医療、スポーツ医学を学び、神戸大学病院、新須磨病院勤務を経て、患者さんにやさしく分かりやすい医療を提供することを目的に、かわかみ整形外科クリニック（神戸市）を開業。日本整形外科学会専門医。

https://kawakamiseikei.jp/