指にささくれができると、衣類の繊維に引っかかったり強い痛みを伴ったりします。

ささくれはなぜできるのか、何が原因なのか、わからない方も多いのではないでしょうか。

ささくれは手の爪の周りの皮膚や爪の根元の角質がめくれあがった状態のことで、誰にでも起こり得る症状です。

ささくれを悪化させないためにも原因を理解し、予防方法や適切なケア方法を知っておきましょう。

今回は「ささくれができる原因」や「ささくれができたときにやってはいけない行為」「適切なケア方法」を紹介します。

ささくれができやすい方や、痛みに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

ささくれができる原因

ささくれができるきっかけや原因はさまざまです。

主な原因は3つ考えられます。

ささくれができる原因をしっかり把握しておきましょう。

皮膚の乾燥

ささくれの主な原因は皮膚の乾燥です。

皮膚が乾燥すると肌のバリア機能が低下します。

皮膚のうるおいが不足すると爪周辺の皮膚も乾燥し、角質がめくれあがってささくれができます。

冬などの空気が乾燥しやすい季節は、皮膚の水分も失われる傾向にあるので注意しましょう。

夏場もエアコンによる乾燥にも気をつける必要があります。

また、水仕事やアルコール消毒も皮膚の水分が失われる要因となるので、ささくれができる原因の1つです。

ささくれができてしまった方やささくれができやすい方は、手指の皮膚が乾燥していないかチェックしてみましょう。

栄養不足

栄養不足や栄養の偏りも皮膚の水分が失われる原因です。

皮膚の水分が不足すると肌が乾燥し、ささくれができる要因となるので注意しましょう。

皮膚も摂取した栄養から作られています。

栄養が不足した状態になると新陳代謝に影響を与えるため、乾燥肌をはじめとした肌トラブルを引き起こす要因になります。

ささくれができた方は、この機会に食生活を見直してみましょう。

古くから「ささくれは親不孝」とよくいわれていますが、これは日々の不摂生や夜更かしになる体調不良から、ささくれができるといった意味で表現された言葉です。

親のいうことを聞かずに乱れた生活を送ると、ささくれができる要因につながるといった意味から受け伝えられています。

ネイルケア

ネイルケアが原因でささくれができる場合もあります。

ネイルケアに使われるリムーバーや除光液には、アセトンと呼ばれる成分が含まれています。

アセトンは脂を溶かす性質を持っているため、リムーバーや除光液の使用により、爪周囲の皮膚のバリア機能を低下させる可能性があるので注意が必要です。

皮膚のバリア機能が低下すると肌が乾燥しやすくなり、ささくれもできやすい状態となります。

また、アセトンは爪の表面を乾燥させる傾向にあるので、爪に負担がかかり、外部からの刺激に弱くなるので注意しましょう。

ささくれができたときにやってはいけないこと

痛みや繊維への引っかかりのストレスを解消したく、ささくれをむしる方もいます。

しかし、ささくれをむしる行為は症状を悪化させる可能性があります。

患部が気になっても手で触らないことが大切です。

手に付着した細菌がささくれの傷口から侵入し、さらに症状が悪くなる可能性があります。

また、ささくれから細菌が入らないよう、頻繁に手指の消毒をすると乾燥の要因となるほか、痛みを伴う可能性があるため、適切なケアをするよう心掛けましょう。

ささくれの適切なケア方法

ささくれができたら、きちんとしたケアが大切です。

ささくれができた際の適切なケア方法を紹介します。

手や指を清潔に保つ

ささくれの患部から菌が入らないように、手や指は常に清潔を保ちましょう。

視覚的には汚れが目立たなくても、きちんとこまめに手洗いを行ってください。

手に付着した水分を拭き取る際も、清潔なハンカチやタオルを使います。

ただし、洗い過ぎや消毒のし過ぎは皮膚を乾燥させる要因となるため、かえって症状を悪化させる可能性があります。

適度に手洗いや消毒をしながら、手指を清潔にしましょう。

しっかりと保湿を行う

皮膚の乾燥はささくれの要因となるので、しっかりと保湿を行ってください。

ハンドクリームや軟膏を使い、手や指の乾燥が気にならなくてもこまめに保湿を行います。

ハンドクリームや軟膏を塗る際は、指の根元から指先にむかって塗り広げるのがポイントです。

ささくれができる指と爪の間も乾燥しやすいので、隙間を埋めるように丁寧に保湿しましょう。

手が乾燥しやすい方は、保湿力が高いヒアルロン酸やグリセリン、セラミドなどの成分が配合されたケアアイテムを選ぶことも大切です。

水仕事の後やお風呂上りは皮膚が乾燥しやすい傾向にあるので、意識的に保湿を行ってください。

爪切りやハサミでささくれをカットする

ささくれは無理にむしらず、爪切りやハサミでカットしましょう。

衣類の繊維に引っかからないように、なるべく根元からささくれをカットするのがポイントです。

ささくれをカットする際は、サイズの小さい爪切りやハサミを使うと良いでしょう。

ささくれの予防方法

ささくれができないように、普段からの予防も大切です。

ささくれの予防効果に期待ができる方法を3つ紹介します。

水仕事はゴム手袋を活用する

肌への刺激を軽減するためにも、水仕事をする際はゴム手袋を着用しましょう。

洗剤や水、お湯に直接肌が触れないようにすることが大切です。

ゴム手袋の着用により、皮脂や肌の水分を洗い流れて皮膚が乾燥するのを防ぐ効果に期待ができます。

ただし、人によってはゴム手袋を身に付けることで手がかゆくなる方もいます。

使用感が気になる方は、ゴム手袋のなかに綿製の手袋を着用するなど、工夫をしてください。

洗浄力の強いハンドソープを使わない

洗浄力の強いハンドソープや石けんは、肌に必要な皮脂まで洗い流してしまう可能性があります。

皮脂が不足すると肌が乾燥する要因となり、結果としてささくれができやすい状態になるため、注意が必要です。

ハンドソープや石けんは低刺激性の商品を使いましょう。

また、高温のお湯は肌に必要な皮脂も奪ってしまうため、手を洗う際はぬるめのお湯を意識してください。

手が濡れたらきちんと水分を拭き取る

肌に水分が残ったまま放置すると、水分が蒸発する際に皮膚の水分も一緒に蒸発してしまいます。

肌の乾燥を防ぐためにも、水仕事の後や手洗い後はしっかりと水分を拭き取りましょう。

手を濡らした後は、清潔なハンカチやタオル、ハンドペーパーを使用して水分を拭き取ってください。

水仕事の後や手洗い後に、ハンドクリームで保湿すると、水分の蒸発を防いだり乾燥を防いだりする効果に期待ができます。

冬場は冷たい外気にさらされるのを防ぐために手袋をしたり、暖房による手肌の乾燥を防ぐために加湿器を使ったりすることも有効です。

まとめ

ささくれの主な原因は、皮膚の乾燥、栄養不足、ネイルケアです。

ささくれができた際は必要以上に患部を触らず、適切なケアを行いましょう。

乾燥を防ぐために水仕事をする際は、ゴム手袋を着用してください。

手洗いや手指消毒は適度な回数に留め、低刺激性のハンドソープや石けんで洗いましょう。

日々の保湿ケアもしっかり行うことが大切です。

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【監修者情報】

川上先生写真

かわかみ整形外科クリニック

院長・医学博士：川上洋平

神戸大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学に留学し、膝関節外科、再生医療、スポーツ医学を学び、神戸大学病院、新須磨病院勤務を経て、患者さんにやさしく分かりやすい医療を提供することを目的に、かわかみ整形外科クリニック（神戸市）を開業。日本整形外科学会専門医。

https://kawakamiseikei.jp/