健康に気を遣っている方は、「セレン」という名の成分を耳にしたことがあるかもしれません。

セレンは栄養素の中でも健康の維持に欠かせない成分の1つです。

今回はセレンについて詳しく解説します。

セレンが含まれる食べ物や1日の適切な摂取量も紹介するので、健康に関心のある方はぜひ参考にしてください。

セレンとは？

セレンは、必須ミネラルの1つです。

人間だけではなく、すべての生き物に必要な微量元素であり、動物由来の食材や植物からセレンを摂取しています。

セレンは免疫機能を維持するためにも役立っており、感染症対策の観点からも重要な役割を果たしているといわれています。

感染症を防ぐための身体作りに必要な栄養素です。

また、セレンは甲状腺ホルモンの代謝や抗酸化システムにも欠かせない存在であり、生きていく上で必要な栄養素です。

セレンの摂取で期待できる効果

セレンはたんぱく質と結合して体に吸収されやすい性質を持ち、抗酸化作用に期待ができる栄養素なので、酸化作用による細胞のダメージを防ぎ、肌、筋肉、血管の老化を防ぐ効果が期待できます。

生体にとって有害な作用である酸化ストレスを軽減すると、がんや老化の予防効果にも期待ができるでしょう。

また、糖尿病やアルツハイマー病など、酸化ストレスが要因となる病気も防ぐ効果に期待ができます。

ただし、セレンを摂取したからといって、必ずしも病気を防げるわけではありません。

病気や老化の1つの要因を解消するために、セレンが必要であると覚えておきましょう。

セレンが含まれる食材を摂取するだけではなく、普段から健康的な生活を心掛けることが大切です。

セレンが不足するとどうなる？

日本人の通常の食事では、セレン不足になるケースは少ない傾向にあります。

しかし、何らかの要因でセレンが不足すると、不整脈や心筋症、下肢の筋肉痛、筋力低下を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

人によってはセレン不足により、皮膚炎や毛髪の変色、脱毛といった症状が現れることもあります。

また、セレン不足により爪の色が白く変色することもあるので、普段の食事からきちんとセレンを摂取することが大切です。

セレン不足は、易感染性のリスクが高まる可能性があります。

易感染性とは「感染しやすい状態」をさすもので、あらゆる感染症を引き起こしやすい状態です。

病気や感染症を防ぐためにも、セレン不足にならない食生活を意識してください。

セレンが多く含まれる食材や食品

セレンが含まれる食べ物は主に以下の4種類です。

魚介類
肉類
卵類
穀類

魚介類はマグロやかつお、アジ、ホタテ、サンマ、牡蠣、毛蟹などにセレンが含まれています。

普段の食事にも取り入れやすい魚介類も多いので、無理なくセレンを摂取できます。

セレンの含有量は土壌に関係するため、肉類は畜肉が望ましいです。

ただし、飼育環境によってセレンの含有量は異なります。

畜肉は豚肉や牛肉、馬肉、羊肉が該当するので、食事のメニューを考える際に参考にしてください。

穀類である中華麺やパン、パスタにもセレンは含まれます。

主食でセレンを摂取したい方は、中華麺やパスタなどの麺類、パンを活用してください。

健康を維持するためにも、セレンのみを意識した食事ではなく、栄養バランスの整った食事を心掛けましょう。

セレンの1日の適切な摂取量

成人に推奨されているセレンの摂取量は、1日25〜30μgです。

数値で表すとわかりにくいですが、6枚切りの食パン1枚には約13μgのセレンが含まれているので、参考にしましょう。

成人のセレン摂取量の上限は、1日330～460μgですので、過剰摂取にならないように気をつけてください。

乳幼児のセレン摂取量の目安は、0～5ヶ月児で29.6μg、6～11ヶ月児は 49.2μg、1～2歳児は61.3μgであり、いずれも上限値です。

摂取量の目安となる、食材や食品に含まれるセレン含有量を紹介します。

セレン含有量

上記のセレン含有量はあくまでも目安です。

土壌や飼料に含まれるセレンの含有量によっても異なるので、指標の1つとして参考にしてください。

セレンを摂取する際の注意点

セレンの過剰摂取は、吐き気、下痢、嘔吐などの胃腸障害や末梢神経障害、皮膚症状を引き起こす可能性があります。

脱毛や爪の変色、疲労感や焦燥感もセレンの過剰摂取による症状なので、摂り過ぎには十分に注意しましょう。

セレンは必要摂取量と中毒量の差が小さいため、サプリメントなどで栄養を補填する際は注意が必要です。

基本的には普段の食事で必要なセレンは摂取できるので、セレンが含まれる食材や食品も参考にしながら必要な量を摂取してください。

適切な摂取量を意識するためにも、セレンの含有量を1つの目安として食生活を管理しましょう。

まとめ

セレンは身体に欠かせない栄養素の1つです。

通常の食生活でセレンが不足することはほとんどありませんが、気になる方はセレンが含まれる食べ物を意識的に摂取しましょう。

ただし、セレンだけを意識した食生活では栄養が偏ってしまう可能性があります。

栄養の整った食生活を送るためにも、身体に必要な栄養素をバランス良く摂取してください。

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【監修者情報】

川上先生写真

かわかみ整形外科クリニック

院長・医学博士：川上洋平

神戸大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学に留学し、膝関節外科、再生医療、スポーツ医学を学び、神戸大学病院、新須磨病院勤務を経て、患者さんにやさしく分かりやすい医療を提供することを目的に、かわかみ整形外科クリニック（神戸市）を開業。日本整形外科学会専門医。

https://kawakamiseikei.jp/