座りっぱなしのデスクワークや立ちっぱなしの家事をはじめとして、日常生活において腰には負担がかかりやすいものです。

腰が痛いことに悩んでいるなら、適切な対処法を把握した上で実践することが大切です。

自分ではただの腰痛だと思っていても、なかにはほかの病気が隠れており、医療機関を受診すべきケースもあるため、腰の痛みは放置せずに正しく対処を行いましょう。

この記事では、腰が痛いと感じる原因や対処法をわかりやすく解説します。

腰痛の予防策として、ストレッチの具体的な手順も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

腰が痛いときはまず原因を知ろう！

腰が痛くなる原因は、病気や姿勢の悪さなど多岐にわたります。腰の痛みを解消するために、まず腰が痛い原因は何かを把握しましょう。

腰の痛みは、医師の診察や検査によって原因を特定しやすいものと、原因の特定が難しいものがあり、素人が判断するのは難しいです。

腰の痛みは放置していると悪化することがあるため、痛みが強い場合や続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。

受診する診療科は主に整形外科となりますが、腰の痛みに加えて発熱といった症状もある場合は内科、ストレスが原因で起こる腰の痛みなら心療内科の受診も候補となります。

どの診療科を受診したら良いかわからない場合は、かかりつけ医に相談しても良いでしょう。

原因が特定しやすい腰の痛み

医師の診察や検査を通じて、原因を特定しやすい腰の痛みとして挙げられる例は、以下の4つです。

椎間板ヘルニア
脊柱管狭窄症
脊椎分離すべり症
骨粗しょう症

ここからは、上記の場合どのような痛みが出るのか紹介します。

椎間板ヘルニア

人間の背骨にある椎間板には、背骨と背骨の間のクッションのような役割があります。

椎間板に大きな負担がかかると、椎間板の内部にあるゼリー状の髄核（ずいかく）が外に出てしまうことがあり、この髄核が周囲の神経を圧迫します。

これを椎間板ヘルニアといい、腰の痛みやしびれなどの症状を引き起こします。

椎間板ヘルニアは、レントゲンやMRI、CTなどで検査をしてから診断されます。

脊柱管狭窄症

腰の骨である脊椎が変形することによって神経が圧迫され、さまざまな症状を引き起こしている状態が脊柱管狭窄症です。

腰や下肢がしびれる、だるくなるなどの症状があるほか、少し歩くと足が痛くなったり、痺れが出て歩けなくなったりする間歇性跛行（かんけつせいはこう）という症状が出てきます。

脊柱管狭窄症は、レントゲンや腰椎MRI、CTなどで検査を行います。

脊椎分離すべり症

脊椎分離すべり症とは、椎間関節や椎間板が前後にずれている状態をいいます。

腰に負担がかかると痛みやしびれが生じることがあり、長時間歩くことが難しい場合もあります。

脊椎分離すべり症はレントゲンで診断することが多く、原因がわからない場合はCTやMRIでも診断します。

骨粗しょう症

骨粗しょう症とは、骨の密度と質が低下して骨がもろくなった状態のことです。

骨粗しょう症になると少しの衝撃でも骨折しやすくなるほか、人によっては気づかないうちに腰の圧迫を起こし、痛みや身長の縮みなどが生じることもあります。

診断方法はレントゲンで圧迫骨折の有無を確認したり、DEXA（デキサ）法や超音波で骨密度を測定したりします。

原因の特定が難しい腰の痛み

腰の痛みのなかには、病院に行って医師が診察や検査をしても原因の特定が難しいことがあります。

原因の特定が難しい腰の痛みとして挙げられる例は、以下の4つです。

椎間関節性腰痛
筋膜性腰痛
仙腸関節性腰痛
非特異的腰痛

これらの症状がどのようなものなのか、以下で紹介します。

椎間関節の炎症で生じる「椎間関節性腰痛」

背骨は椎骨と呼ばれる骨で構成されており、これらが連結する部分を椎間関節といいます。

腰を自由に曲げたり伸ばしたりできるのは、椎間関節の働きによるものです。

椎間関節性腰痛とは、何らかの理由で椎間関節に損傷が生じ、炎症が起こって発生する腰痛をさします。

筋肉痛によって痛む「筋膜性腰痛」

筋膜性腰痛は、腰の筋肉に大きな負担がかかったことで生じる痛みです。

身体を動かしたり腰を押したりすると、痛みを感じやすくなります。

いわゆる「ぎっくり腰」も筋膜性腰痛であることがあります。

スポーツをしたときや重い荷物を持ったときなど、急激に腰に負担がかかったときになりやすいほか、普段から姿勢が悪い方もなりやすいとされています。

お尻近くの仙骨が痛む「仙腸関節性腰痛」

仙腸関節とは骨盤の骨である仙骨と腸骨が繋がっている関節のことをいい、脊椎のバランスをとる役割があります。

この仙腸関節に負担がかかって炎症を起こしたものが仙腸関節性腰痛であり、腰に強い痛みが生じます。

仙腸関節性腰痛は、デスクワークなどで長時間悪い姿勢を続けている方や外傷や打撲を負った方、出産後の方などがなりやすい傾向にあります。

心理的ストレスで痛む「非特異的腰痛」

非特異的腰痛とは、診察や検査をしても明確な原因が特定できない腰痛全般をさします。

腰に負担をかけていないのに痛みを感じる場合は、心理的ストレスによる痛みである可能性も考えられるでしょう。

心理的ストレスを受けると身体が反応して血行不良になり、腰の痛みや肩こりなどを引き起こすことがあります。

ストレスや疲労が蓄積している方がなりやすいため、ストレス解消や休養することが大切です。

腰が痛いときの対処法

ここからは、腰が痛いときに取り組める対処法を2つ紹介します。

ただし、あくまでも応急処置として考え、痛みが強い場合や長く続いている場合は医療機関を受診しましょう。

湿布やサポーターを試してみる

湿布は、患部に貼ることで痛みを軽減させることが期待できるアイテムです。

湿布には消炎剤などの成分が配合されており、冷湿布と温湿布の2種類があります。

また、サポーターには患部を固定したり保温したりする役割があり、大きさや素材、締め付け力などの違いで、さまざまな種類が販売されています。

なお、湿布もサポーターも使用方法は商品によって異なり、適する症状と適さない症状が存在する場合もあるため、注意しなくてはなりません。

自己判断で使うのではなく、ドラッグストアに在籍する薬剤師に相談の上、使用しましょう。

鎮痛薬を服用する

腰の痛みがつらいときは、薬局で購入できる市販の鎮痛剤を試すのもひとつの方法です。

ただし、鎮痛剤の服用はあくまでも応急処置として考えましょう。

鎮痛剤にはさまざまな種類があり、自分の痛みに適した種類を選ぶことが大切です。

そのため、薬局で購入するときは薬剤師に相談の上で購入し、鎮痛剤を服用するときは用法・用量を必ず守りましょう。

なお、スギ薬局でも腰痛対策となる商品を販売しています。

スギ薬局では多くの店舗に薬剤師が在籍しているので、処方せん取り扱いのあるお近くの店舗を探してみてください。

スギ薬局の薬剤師は、お客さまの不調に応じて適切な判断を行い、医療機関の受診をおすすめしたり、市販薬を紹介したりしています。

市販薬に関してご不明な点がありましたら、薬剤師までお気軽にご相談ください。

腰が痛いときにやってはいけないこと

腰が痛いときは、できるだけ身体を動かさないよう安静にしましょう。

「早く治して動きたい」という気持ちから、つい動いてしまう方がいるかもしれませんが、無理に身体を動かすと腰の負担になることがあります。

腰が痛いときは安静にするほか、以下の行動を控えることをおすすめします。

痛みを我慢して同じ姿勢を続ける
重たいものを運ぶ
中腰になる
長時間同じ姿勢を続ける

腰に余計な負担がかからないように心掛けて生活しましょう。

腰の痛みを予防する3つの方法

腰が痛くなってから後悔しないためにも、日頃から腰痛対策に努めることが大切です。

ここでは、日頃から取り組める腰痛の予防方法を3つ紹介するので、無理のない範囲で取り組んでみましょう。

①ストレッチ

身体の柔軟性が低下すると腰の痛みを引き起こす可能性があるため、ストレッチを行って身体の筋肉をほぐし、腰にかかる負担の軽減を目指しましょう。

以下では、ストレッチの具体的な手順を2つ紹介します。

腸腰筋のストレッチ

腰が痛い方は、股関節の奥にあって腰と繋がっている「腸腰筋」がこり固まっていることが多いため、積極的にストレッチしましょう。

腸腰筋のストレッチは、以下の手順で行います。

右足を大きく前に踏み出し、左足の膝を地面につける
右ひざの上に両手を置き、上半身を下方向にゆっくり動かす
そのまま上半身を前方向に動かす
20秒ほど姿勢をキープする
反対側も同様にストレッチする

背中が丸まって猫背にならないよう、胸を張る意識で行うとより効果的です。

腰をひねるストレッチ

腰の筋肉が硬くなっている方は、仰向けに寝て腰をひねるストレッチが効果的です。

筋肉が硬直すると寝返りを打つ回数が減り、血行不良や睡眠不足を招く可能性があるため、日中にストレッチを行ってしっかり腰の筋肉を伸ばしておきましょう。

腰をひねるストレッチは、以下の手順で行います。

仰向けに寝る
右足を約90度に曲げ、そのまま左足の上に被せる
左手で右ひざを軽く抑えて腰をひねる
全身の力を抜いて10秒ほどキープする
反対側も同様にストレッチする

寝たままの姿勢で行えるため、就寝前にリラックスした状態で行うのもおすすめです。

なお、腰の痛みが強い場合には、ストレッチを行っても良いか医師に確認した上で取り組みましょう。

②姿勢を正す

日中や就寝中の姿勢は腰に大きな影響を与えるため、正しい姿勢をキープすることが大切です。

特に、椅子に座ると腰に負担がかかり骨盤がゆがんで腰痛を誘発するので、日頃から座り姿勢に気をつける意識を持ちましょう。

椅子に座って足を組んだり、前のめりでパソコン操作に打ち込んだりする姿勢は、腰に負担がかかるためおすすめできません。

椅子に座る正しい姿勢は、以下を参考にしてください。

椅子に深く腰掛けて、足裏全体を地面につける
ひざが約90度になるよう、両足の位置を調節する
あごを軽く引いて、背筋を伸ばして胸を張る

必要に応じて椅子の高さを調節する、またはクッションを活用するのもおすすめです。

また、長時間同じ座り姿勢を続けると、筋肉が緊張した状態が続き、疲労や血行不良による腰の痛みに繋がります。

座り姿勢が続く場合は、こまめに休憩を挟むと良いでしょう。

③ストレス解消

ストレスによる自律神経の乱れから腰痛を招かないために、ストレス解消できる方法を見つけましょう。

ストレスを解消する方法はさまざまありますが、例として挙げられるのは以下のとおりです。

散歩する
音楽を聴く
アロマを焚く
運動する
湯船に浸かる

自分がストレス解消できる方法であれば上記以外のものでも構いません。

ただし、アルコールに関しては、睡眠の質の低下や生活習慣病のリスクを招き、飲む量が徐々に増えると依存に繋がる可能性もあるため、アルコールに頼るのは避けた方が良いでしょう。

まとめ

腰の痛みには、医師の診察・検査によって原因が特定できるものと、原因が特定できないものがあります。

病気が原因で腰の痛みが起こっている場合、該当する疾患を治療する必要があるため、医療機関を受診して医師の指示を受けましょう。

原因が特定できない場合は、姿勢の悪さや運動不足、ストレスが関係して腰の痛みが起こっている可能性があります。

日頃からストレッチを行いストレス解消に努めて、腰痛予防に取り組みましょう。

スギ薬局では、湿布や鎮痛剤など腰痛対策できる商品を数多く取り扱っています。

腰の痛みへの対処、または予防を考えているなら、スギ薬局をぜひご活用ください。

腰痛対策の商品を購入する場合は薬剤師に相談して、自分の痛みに適したものを使用することをおすすめします。

【監修者情報】

川上先生写真

かわかみ整形外科クリニック

院長・医学博士：川上洋平

神戸大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学に留学し、膝関節外科、再生医療、スポーツ医学を学び、神戸大学病院、新須磨病院勤務を経て、患者さんにやさしく分かりやすい医療を提供することを目的に、かわかみ整形外科クリニック（神戸市）を開業。日本整形外科学会専門医。

https://kawakamiseikei.jp/