ダニはひとたび発生すると、一気に繁殖してしまいます。

ダニが繁殖すると、刺されて痛みやかゆみが出たり、アレルギーを引き起こしたりと体に悪影響をおよぼすため、適切に対処しなくてはなりません。

ダニ対策に大切なことは、ダニが発生しやすい環境を把握した上で、日頃からダニが繁殖しづらい環境を作っておくことです。

この記事ではダニの種類別に主な特徴や症状を解説し、具体的な対策についても説明します。

ダニを予防するための日常生活における心掛けも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

【種類別】ダニの特徴と刺されたときの症状

私たちが暮らす自然界には、さまざまな種類のダニが存在します。そのなかで人を刺すことがあるダニは、主に以下の3種類です。

ツメダニ
イエダニ
マダニ

なお、ダニは種類によって屋内に生息するタイプと、屋外に生息するタイプにわかれます。

ツメダニ

ツメダニは、室内で発生するダニの一種です。体長0.3～1.0mmほどなので、目視では確認できません。

血を吸うことはありませんが、間違って人を刺して体液を吸うことがあります。

刺された直後は自覚症状がなく、数時間が経過した後にかゆみや発疹が出るところが特徴です。

かゆみは1週間ほどしつこく続くことが多く、2～3日で治まったとしても再びかゆみが発生するケースもあります。

梅雨や秋ごろに増加しやすく、室内の布団や畳を中心に潜んでおり、素肌に接している部分が刺されやすいです。

イエダニ

イエダニは、室内で発生する体長0.5～1.0mmほどの吸血性のダニです。

主にネズミに寄生しているダニですが、人を吸血することもあります。

二の腕・脇・おなか周り・太もも・陰部など、皮膚がやわらかい部位を狙って刺すところが特徴です。

吸血すると、もともと白い体色が赤や黒に変わるため、より目視で確認しやすくなります。

刺された直後から強いかゆみや赤みといった症状が出ますが、かゆみは数日間続くこともあるようです。

さらに、吸血を介して感染症を引き起こす恐れもあります。

マダニ

マダニは、草地や市街地をはじめとした野外で発生する、体長3.0～10.0mmほどの大型のダニです。

日本には約47種類のマダニが生息しているとされており、4～11月ごろに発生します。

主に野生の生物の血液をエサにしていますが、人も吸血することがあります。

人に取りつくと、数時間から数日かけてゆっくり吸血しますが、刺されている最中には痛みやかゆみを自覚しづらいため、刺されていることに気が付きにくいところが難点です。

皮膚のやわらかい部位を吸血して満腹になると自然と脱落しますが、その後、痛みやかゆみ、灼熱感があらわれます。

また、重症熱性血小板減少症候群（SFTS）・日本紅斑熱・ライム病・ダニ媒介脳炎といった感染症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

刺されたことに気づいたら、速やかに医療機関を受診しましょう。

ダニ刺されとあせもの見分け方

ダニ刺されと似た症状に「あせも」があります。肌にポツポツとした赤みがあってかゆい場合、ダニ刺されとあせものどちらなのか悩む方は多いでしょう。

あせもとは、汗を分泌する汗管に汗が詰まって起こる炎症のことです。

大量に発汗したとき、汗の塩分や汚れが汗管に残ってしまい、汗が体外にスムーズに排出できなくなることが原因で起こります。

ダニ刺されとあせもの症状は似ており区別がつきづらいため、症状が出た部位をひとつの目安として判断すると良いでしょう。

あせもができやすいのは、首回り・額・お尻・膝や肘の内側など、衣類や肌が擦れやすい部位、または汗を多くかきやすい部位です。

一方、ダニは太もも・お腹・陰部など、皮膚がやわらかくて衣類で隠れている部位を刺すケースが多くなっています。

ただし、素人では見分けがつかないケースも多く、もしかしたら別の病気である可能性も考えられるため、自分の症状がどちらに該当するかわからない場合は、自己判断せずに医師に相談することを推奨します。

ダニが発生しやすい環境

ダニはとても小さく目視では確認できない場合もあるため、発生しやすい環境を理解しておけばダニ対策に役立ちます。

ダニが発生しやすいのは、室温・湿度・エサという3つの環境が揃った場所（※）です。

室温：25〜30℃
湿度：60％以上
エサ：髪の毛・フケ・食べかす・カビなど

室内に生息するダニは、主に梅雨をはじめとした高温多湿になりやすい時期に発生します。

ただし、風が通らず湿気が溜まりやすい部屋や掃除が行き届いていない部屋などはダニが発生しやすい条件が揃っているため、時期を問わず発生することもあります。

また、枕やマットレス、掛布団といった寝具は、髪の毛やフケ、皮脂といった汚れが溜まりやすい傾向にあります。

就寝中にかく寝汗によって湿気や熱もこもりやすいため、ダニが発生する格好の場所です。

加えて、丸洗いが難しいソファやカーペット、畳にもダニは発生しやすいといえます。

一方、屋外で活動するダニは、春から秋にかけて活性化するところが特徴です。

登山やキャンプで山林や草地に立ち入る際や農作業を行う際には、ダニに刺されないよう長袖・長ズボンを着用して、できる限り肌を露出しないよう気をつけましょう。

（※）出典：東京都福祉保健局ホームページ「アレルゲン対策」

ダニ刺されへの対処法

先にも少し触れましたが、ダニ刺されと他の病気を自分で見極めるのは難しいため、気になる症状がある場合やつらい症状が長く続く場合には、無理せず医療機関を受診するのが基本となります。

特に、マダニに刺された可能性がある場合は速やかに医療機関を受診するのが望ましいです。

マダニが吸血していることに気づいた場合、無理やり引っ張るとマダニの頭部や口器が皮膚内に起こり、ウイルス感染のリスクが高まる場合があります。

そのため、吸血中のマダニに気づいても引っ張ったりつぶしたりせず、医師に相談して処置を施してもらいましょう。

なお、マダニではなく室内のダニに刺された場合は、医療機関の受診を検討するのに加えて、自分でできる対処法もあります。

まずはダニに刺された患部をキレイに洗い流しましょう。

その後、ドラッグストアにいる薬剤師や登録販売者などに相談の上、虫刺され用の薬を使用します。

ただし、自分で対処しても症状が治まらない場合や症状が広範囲におよぶ場合は、やはり医療機関を受診して医師の適切な指示のもと治療を行った方が良いといえるでしょう。

ダニ刺されの予防に効果的な3つの方法

ダニに刺されたしつこいかゆみは長引くこともあるため、刺されてから対処するのではなく、事前にダニが発生しづらい環境をつくることも大切です。

以下では、ダニ予防におすすめの方法を3つ紹介します。日常的に取り組める対策ばかりなので、ぜひ実践してみてください。

こまめに換気と掃除を行う

ダニが繁殖しづらい環境を整えるために、定期的に掃除してキレイな室内を保ちましょう。

髪の毛やフケ、垢などダニのエサとなる汚れが残らないよう、こまめに掃除機をかけてください。

枕や掛布団といった寝具にカバーを付けておけば、手軽に洗濯できるためおすすめです。

洗えないマットレスや畳は天日干し、もしくは陰干しをして湿気を取り除きます。

室内の掃除に加えて、定期的に部屋の換気を行い、高温多湿となる環境をつくらないことも重要です。

必要に応じてエアコンの除湿機能も活用して、湿度管理に努めましょう。

寝具には布団乾燥機を使用する

敷布団やマットレスといった寝具は、天日干し・陰干しするだけでなく、布団乾燥機を使ってダニを駆除するのもおすすめです。

ダニを駆除する方法として、多くの方が「干して叩く」という方法を思い浮かべると思います。

しかし、寝具を干す方法では、ダニが活動しづらい環境をつくることは可能ですが、すべてのダニを除去する効果は期待できません。

ダニを死滅させるには、50℃以上の高温な環境下で10～30分程度かかります。

例え夏場であっても、干すだけでは寝具の内側まで十分に高温にするのは難しく、表側に生息していたダニが熱を避けて裏側に移動するだけとなり、退治するのは困難です。

その点、布団乾燥機を使えば寝具の内部まで十分に高温にできるため、ダニの繁殖を抑えやすくなります。

布団乾燥機でダニを死滅させた後は、掃除機をかけてダニの死骸を取り除くのを忘れないようにしましょう。

くん煙剤などでネズミを駆除する

室内に生息するイエダニは主にネズミに寄生するため、大元の原因であるネズミを駆除する必要があります。

すでに活動しているネズミはもちろん、ネズミの巣まで除去することが大事です。

ネズミの巣が放置されていると、吸血源がなくなったイエダニが血を求めて人を吸いに来る可能性があります。

自分でネズミを駆除する方法として挙げられるのが、くん煙剤を使用する方法です。

商品によって扱い方が異なるため、必ず商品記載の使い方を読んだ上で使用しましょう。

なお、くん煙剤はネズミ用のものだけでなく、ダニ用のアイテムも販売されています。

生きているダニを掃除機で吸い取るのは難しいため、まずくん煙剤や殺虫スプレーでダニを死滅させてから掃除機で吸い取ると良いでしょう。

ネズミ・ダニ用のくん煙剤、殺虫スプレーといったアイテムは、スギ薬局をはじめとしたドラッグストアで購入できます。

また、自分で駆除できない場合は、専門の業者へ駆除を依頼することも検討しましょう。

まとめ

人を刺すダニは主に3種類おり、それぞれ特徴や生息する環境、刺されたときの症状などが異なります。

ダニに刺された場合、まずは流水でキレイに洗い流してから、薬剤師や登録販売者に相談の上、虫刺され用の薬を塗布して対処しましょう。

症状が長く続いたり異常が見られたりする場合には、医療機関の受診を推奨します。

また、ダニは高温多湿でエサが多い環境を好むため、定期的な掃除や換気を心掛け、寝具には布団乾燥機を使用してダニ対策に努めましょう。

ネズミやダニを駆除したい場合は、ドラッグストアで販売されているくん煙剤を使用することもひとつの手段です。

なお、スギ薬局でもダニ対策ができるアイテムを取り扱っていますが、スギ薬局でお買い物をするなら無料でダウンロードできるアプリの利用がおすすめです。

またアプリ会員証でポイントもたまります。100円（税込）ごとに１ポイントがたまり、たまったスギポイントは店内商品や、電化製品・インテリア雑貨といった景品に交換可能です。