自分や親の介護が必要になったとき、何からはじめればいいのか基本的なことは案外知らないものです。

介護をはじめるときにやるべきことや手順をあらかじめ理解しておけば、いざというときに安心できるでしょう。

この記事では、どのような流れで介護をはじめればいいのか、手順に沿ってわかりやすく解説します。

利用できる介護サービスや施設、事前に準備しておくものも紹介するので、これから介護をはじめる方や将来の備えとして知識をつけたい方は、ぜひお役立てください。

介護の方法には大きく分けて2種類ある

介護の方法には、大きく分けて在宅介護と施設介護の2種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

在宅介護

在宅介護とは自宅で介護を受けることをいい、家族やヘルパーなどが介護を行います。

これまでと同じ環境で生活できるため、要介護者に精神的な負担がかかりにくい点がメリットです。加えて、施設介護よりも介護にかかる費用を抑えやすい傾向にあります。

しかし、24時間365日介護する必要があり、介護を行う家族に大きな負担がかかりやすいです。手すりの設置や段差の除去など、住宅をバリアフリーにする必要がある点も負担が大きいといえるでしょう。

施設介護

施設介護とは、介護施設に入居して介護を受けることをいいます。

専門のスタッフによる介護が受けられ、24時間対応してもらえるので家族にかかる負担が少ないところがメリットです。

一方、主なデメリットとして、在宅介護よりも高額な費用がかかる点が挙げられます。

さらに、要介護者が新しい環境に慣れる必要があり、ストレスになる可能性がある点にも注意が必要です。

親や自分に介護が必要になったらやるべきこと

もし親や自分に介護が必要になったら、どのような手続きをすれば良いのでしょうか。主な相談先や申請するものなど、介護をはじめるまでの流れに沿って解説します。

自治体の窓口や地域包括支援センターに相談する

介護が必要になりそうなときには、まず自治体の窓口や地域包括支援センターに相談するところからはじめます。

地域包括支援センターには介護・保険・福祉に関する専門家が在籍しており、必要な支援を受けるための相談ができます。

そもそも介護が必要なのか、どのようなサービスが利用できるのかをここで把握しましょう。

地域包括支援センターの対象者は、対象地域に居住する65歳以上の高齢者、あるいは支援を行う方です。離れて生活している親の介護について相談する場合は、親が居住する地域の地域包括支援センターに相談しましょう。

主治医に相談する

自治体の窓口や地域包括支援センターに相談し、介護が必要だと判断された方が介護保険を受けるには、後述する「要介護認定」が必要です。

要介護認定を申請するときに医師による意見書が必要となるため、あらかじめ主治医に介護について相談しておくと認定がスムーズに進められます。

役所や地域包括支援センターへ介護認定の申請を行う

介護保険を受けるために必要な要介護認定を、居住している地域の役所または地域包括支援センターに申請しましょう。

要介護認定とは、どの程度の介護レベルにあるのかを専門家が判定し、保険者がそれを認定することをいいます。申請時には、申請書と介護保険証または健康保険証が必要です。

要介護認定の結果には「要支援」と「要介護」があり、それぞれ細かくレベルがわかれています。

要支援は一部支援があれば日常生活が可能な状態をいい、要介護は誰かの介護がなければ一人で日常生活を送ることが難しい状態をいいます。

要支援・要介護の判定と認定を受ける

介護認定を申請したら、市町村に依頼された調査員が自宅に派遣され、本人や家族から介護や身体の状態の認定調査が行われます。

あわせて、市町村が主治医に依頼して意見書を作成してもらいます。もし主治医がいない場合は、市町村が指名する医師の診断を受けましょう。

認定調査と医師の意見書によって、専門家が要支援・要介護の判定を行い、申請から30日以内に結果が通知されるのが一般的です。

ケアプランを作成してから介護がスタートする

要支援・要介護の認定を受けたら、介護保険のプロであるケアマネジャーにケアプランを作成してもらいます。

ケアプランとは、要介護者の身体や居住状況にあわせて作成する介護サービスの計画書です。どこで介護を行うのか、どのようなサービスを受けるのかなど、要介護者が満足して生活できるように計画します。

作成されたケアプランにあわせてサービス事業者と契約し、介護をスタートさせましょう。

介護保険で利用できる主な介護サービスや施設

ここでは介護保険で利用できる、主な介護サービスや施設を紹介します。要支援・要介護のレベルによって、利用できるものが異なる点に注意しましょう。

まず、自宅で受けられる主なサービスには以下のものがあり、利用すれば在宅介護の負担が軽減できます。

次に、施設に通って受けられる主なサービスは以下のとおりです。送迎バスで自宅から施設まで送ってくれる施設も多くあります。

また、自宅での介護が難しい方には、施設に入居して受けられるサービスもあります。

紹介したサービスの他にも、医師の指示のもと自宅でリハビリが受けられる訪問リハビリテーションや、短期間施設に入所できるショートステイなど、介護サービスや施設はさまざまあります。

自分のケースではどのサービスが受けられるのか、あらかじめ調べておきましょう。

介護になったら事前に準備するもの

介護をするにあたって準備すべきものは複数あるため、いざ介護がスタートしたときにスムーズに進められるよう、事前に把握しておくことをおすすめします。

まず、介護ベッド・車椅子・歩行器など、自宅生活をサポートする福祉用具を揃えましょう。これらのアイテムは購入する以外にレンタルもでき、介護保険が適用されることもあります。

施設介護の場合は、入居する施設に揃っていないものを確認して、必要なものだけを揃えましょう。

そして、紙おむつ・お尻ふき・尿取りパッドといった排泄関連、スプーンやお皿など使いやすい食器類が必要です。施設介護の場合でも、施設によっては自分で準備するケースがあります。

さらに、在宅介護なら住宅のバリアフリー化を検討し、安全な生活が送れるように環境を整えましょう。手すりの取り付けや床の段差解消の工事には、一部介護保険が適用されます。

施設介護の場合、生活に必要な衣類や日用品も揃える必要があります。

どの程度準備しておくと良いのか、あらかじめ施設に確認しておくと安心です。

なお、スギ薬局では、紙おむつ・お尻ふき・尿取りパッドといった介護生活に欠かせないアイテムを取り扱っています。

不足して困ることがないよう、大まかに必要な量を計算した上で準備しましょう。

まとめ

介護には在宅介護と施設介護があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。介護が必要になったら、まずは自治体の窓口や地域包括支援センターに相談するところからはじめましょう。

介護がスタートしてからは、紙おむつやお尻ふきなどの消耗品は大量に必要となります。スギ薬局でもこうしたアイテムを取り扱っていますが、もしスギ薬局で購入を検討しているなら「スギ薬局アプリ」の活用がおすすめです。