低温やけどは「低温」とつく名称から、通常のやけどより軽いものだと捉える方は多いかもしれません。

しかし、低温やけどは想像以上に深刻な症状をもたらすことがあります。

低温やけどを負った可能性があるなら、迅速かつ、正しい方法での応急処置が必要です。

この記事では、低温やけどと普通のやけどの違いや、発生する原因、対処法などを解説します。

低温やけどに関する知識や対処法を身につけ、万が一のときに備えましょう。

※「たった今、低温やけどを負ったかもしれない」という場合は、直ちに患部に水をかけて冷やしつつ、冒頭部分を飛ばして「低温やけどになったときの対処法」の項目をご覧ください。

そもそも低温やけどって何？

前提として「やけど」とは、熱によって皮膚の細胞が傷んだ状態です。

普通のやけどは、鍋やストーブのように高温のものに瞬間的に触れて起こります。

一方、低温やけどは、体温より少し温かいもの（約40～50℃）に長時間触れ続けることで起こるやけどです。

驚いて反射的に手を引っ込めるような高温のやけどと違い、低温やけどは自覚症状が出にくい傾向にあります。

気づかないうちに、身体の深い部分の細胞まで損傷するケースもあるようです。

低温やけどを負うと、皮膚の赤みや水ぶくれ、変色などが起こるとされています。

細菌に感染すると、症状が悪化したり後遺症が残ったりすることもあるため、注意しなくてはなりません。

低温やけどになったときの対処法

低温やけどの症状が見られた場合は、可能な限り早く応急処置を行いましょう。

「温めていた部分がヒリヒリとする」「赤みが出てきた」というときは、低温やけどの可能性があるため、以下を参考に対処に取り組んでください。

【応急処置】患部に水をかけ続けて冷やす

低温やけどを負ったら、低温やけどが疑われる部位にすぐ水道水をかけて冷やしましょう。

応急処置として大切なのが、患部を冷やして、やけどの進行を止めることです。

症状の程度にもよりますが、10〜20分ほど冷やすのが理想だとされています。

患部を冷やす際、氷水を用いると凍傷のリスクが生じるため注意しましょう。

もしも患部に服がくっついていたら、無理に服を脱がさず、その上から水をかけて冷やします。

水ぶくれができている場合は、できる限り潰さないように配慮してください。

なお、医療機関を受診する前の応急処置として市販薬を使用する場合は、自己判断をせず、ドラッグストアにいる薬剤師へ相談した上で購入しましょう。

【医療機関】医師に相談して適切な治療を受ける

低温やけどは、見た目以上に深刻な状態であることも多いとされています。

例え軽症に見えても、可能な限り医療機関を受診するようにしてください。

対応する科は症状の程度にもよりますが、まずは皮膚科か形成外科、あるいは救急科に相談しましょう。

小さな子どもの場合は、小児科でも受診できる場合があります。

なかにはやけどの治療に強い医療機関もあるため、万が一のときに備え、身近にそういった医療機関があるかを調べておくと良いでしょう。

低温やけどの原因となり得るアイテム

低温やけどの原因となり得るものは、身近にたくさんあります。

以下のリストを参考に、それぞれのアイテムがもつリスクについて把握しておきましょう。

低温やけどの原因

いずれも便利なアイテムですが、低温やけどを引き起こす可能性がある点は覚えておきましょう。

各アイテムのパッケージや取扱説明書には注意書きが記載されているため、内容をしっかり読んでから使用することをおすすめします。

低温やけどを防ぐために大切なこと

低温やけどのリスクがあるとはいえ、寒い時期には暖房機器や暖房グッズが欠かせません。

それぞれの特性を理解した上で、上手につきあうことが大切です。

カイロや湯たんぽといった暖房グッズを使う際は、以下のポイントを意識しましょう。

カイロは素肌に当てず正しく使う

カイロは素肌にあてずに正しく使う

カイロは使用上の注意をよく読んだ上で、素肌へ当てずに使いましょう。

貼るタイプの使い捨てカイロは素肌に貼るのではなく、衣服の上から貼るのが正しい使い方だとされています。

また、繰り返し使えるハンディーウォーマーは、使い捨てカイロより高温になることがあります。

布製の袋に入れたりタオルで包んだりして、肌に直接触れないように気をつけましょう。

いずれのタイプのカイロも、長時間にわたって身体の同じ箇所に当てると、低温やけどのリスクが高まるとされています。

使用したまま眠ったり、圧迫して素肌に密着させたりする使い方はしないように注意しましょう。

湯たんぽは布団から出して就寝する

湯たんぽは布団内を温めるために使用し、就寝前には布団から取り出しましょう。

就寝時以外で湯たんぽを使用する場合も、身体の同じ場所に長時間当て続けないようにしてください。

特に、足はやけどに気づきにくい部位です。

足もとに湯たんぽがあると温かくて気持ち良く感じますが、そのまま寝てしまうと低温やけどを引き起こしかねません。

また、湯たんぽにはカバーを被せて使いましょう。

低温やけどを完璧に防げるわけではありませんが、リスクの軽減になるとされています。

電気毛布やホットカーペットの電源を切って寝る

電気毛布やホットカーペットは、寝る前に電源を切りましょう。

電源をつけたまま寝ると、身体の同じ部分を長時間温め、低温やけどに繋がることがあります。

オフタイマーつきの製品もありますが、設定し忘れる可能性があるのであれば、自ら電源を切る習慣を身につけたいところです。

自分で操作できない高齢者や子どもが使用する場合は、特に配慮が必要です。

成人であっても、例えば飲酒後は気づかぬうちに熟睡してしまうことも多いため、注意しなくてはなりません。

スマホや充電器の取り扱いに注意する

就寝前、寝床でスマホ操作をする方は多いと思いますが、もしスマホの操作中に眠りに落ちることがあれば、スマホを手に持ったまま、あるいは胸の上に置いたままの状態が続きます。

スマホが発熱した状態のまま身体に触れ続けると、低温やけどに繋がる可能性があるため、スマホの取り扱いには気をつけなくてはなりません。

充電中は特にスマホが発熱しやすいので、寝返りを打っても身体が触れない場所に置いて寝ましょう。

充電器やモバイルバッテリーのように、スマホを充電する機器も発熱するため、同様の対策が必要です。

高齢者や赤ちゃんが暖房グッズを使う際は見守る

高齢者や小さな子どもは皮膚が薄いため、低温やけどに対して特に警戒が必要だとされています。

なかでも乳幼児は、自ら自由に動けないことも忘れてはなりません。

そのほか、泥酔している人、神経障害が進行している人、身体に麻痺がある人も、低温やけどにより注意した方が良いとされています。

該当する人が暖房機器を使用する場合は、一緒にいる人も目を離さないよう心掛けてください。

万が一、低温やけどの兆候が見られた場合は、前述した応急処置を行い、医療機関を受診しましょう。

まとめ

低温やけどは身体の内側深くまで損傷する可能性もあるとされているため、迅速な対処が求められます。

応急処置としてすぐに水で冷やし、症状が軽く見えたとしても基本的には医療機関を受診しましょう。

また、電気ストーブやカイロといった暖房グッズの使い方には、よく注意しなくてはなりません。

使い方に気をつければ、こうした暖房グッズは寒い時期においてとても便利な道具です。

外出先で気軽に使えるカイロをはじめとして、スギ薬局では多くの暖房グッズを取り扱っています。

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