便意とともに発生する腹痛に、悩まされている人が多くいます。

仕事中や学校での授業中、あるいは外出先で起こると、非常につらく感じるものです。

この記事では便意とともに腹痛が起こる理由や、考えられる症状などについて、わかりやすく解説します。

あわせて、症状がひどい場合は病院の何科を受診すべきか、どのような対策方法があるかも説明します。

腹痛をともなう便意で悩んでいる方、家族や知り合いがよく腹痛を訴えている方は、ぜひご覧ください。

なぜ便意があるときに腹痛が起こるのか

腹痛が起こる原因のひとつが、腸内にて発生するガスです。

ガスは便の腐敗により発生し、腸内で溜まると腹部の膨張感や腹痛を引き起こすことがあります。

ガスが溜まること以外にも、腹痛を引き起こす原因には、以下のようにさまざまなことが挙げられます。

冷えによる血行不良や自律神経の乱れ
刺激物の摂取や飲み過ぎ・食べ過ぎなど食事の影響
過度なストレスや緊張
過敏性腸症候群などの病気
便秘

腹痛は単なる一過性のものもあれば、重篤な症状により引き起こされる場合もあります。

また、お腹の上の部分や下の部分など、腹痛が発生する場所によっても、考えられる症状が変わることも覚えておきましょう。

頻繁な腹痛や、強い腹痛に悩まされている場合は、内科、あるいは消化器内科を受診して、医師に相談することをおすすめします。

腹痛が頻繁に起こる場合は「過敏性腸症候群」の可能性もある

過敏性腸症候群

便意とともにあらわれる腹痛の原因は、先述したとおり、さまざまなものが挙げられます。

もしも腹痛が慢性的に発生している場合は、過敏性腸症候群（IBS）の症状があらわれているのかもしれません。

過敏性腸症候群とは「腸が精神的ストレスや自律神経失調などの原因で刺激に対して過敏な状態になり、便通異常を起こす病気（※）」のことです。

過敏性腸症候群になると、下痢か便秘、あるいはその両方とともに、腹痛や腹部の不快感に襲われます。

過敏性腸症候群については別の記事で詳しく解説しているため、自分の症状が当てはまっているかもしれないと感じたら、ぜひこちらの記事もチェックしてください。

（※）引用：厚生労働省 e-ヘルスネット「過敏性腸症候群」

腹痛と便秘の関係性や原因など

便意の有無とは関係なく腹痛に悩まされる場合もあり、そういったときの原因としては、便秘になっている可能性も考えられます。

以下では便秘と腹痛の関係性や、便秘になる原因・症状などを解説します。

そもそも便秘ってどんな症状？

便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態（※）」と定義されており、目安として３日間にわたり排便がないと便秘とみなされます。

具体的な便秘の症状の例として、便が出ない（あるいは出にくい）、腹部の張りを感じる、排便後に残便感があるといったことが挙げられます。

そのほか、食欲低下・吐き気・肌荒れなどの症状を引き起こすこともあるようです。

また、便秘を引き起こす原因の例として、以下のものが挙げられます。

不規則な食生活
食物繊維不足
水分不足
運動不足
筋力の低下
無理なダイエット
精神的ストレス
過敏性腸症候群

便秘にならないよう対策をするには、便秘を引き起こす可能性があるこれらの要因を、できるだけ排除することが求められます。

（※）引用：「慢性便秘症診療ガイドライン2017」

便秘で腹痛がおこるメカニズム

便秘により腹痛が起こるのは、便の出口が塞がれることに起因します。

出口が塞がれた状態のまま腸が便を押し出そうとしたり、有害なガスが溜まったりすると、痛みの発生に繋がります。

状態が悪化すると、動けないほどの激痛に襲われる場合もあるため、注意が必要です。

今日から始められる便秘への対策

便秘や腹痛の症状が深刻でない場合は、生活習慣の改善が有効な場合があります。

以下では便秘の対策として、今日から始められるものをピックアップするので、ぜひ日常に取り入れてみてください。

便意を感じたときにトイレへ行く習慣をつける

便意を我慢することが多いと、便秘を引き起こしやすくなります。

便意を感じたら、そのときにトイレへ行き、排便することが大切です。

特に朝食後には便意をもよおしやすいため、そのタイミングでトイレへ行く習慣をつけることが理想的といえます。

３食しっかり食べて食物繊維や水分を積極的に摂る

食事に関しては、朝・昼・晩の３食をしっかり食べることが望ましいとされています。

忙しくて朝食を抜く方がいるかもしれませんが、先述のとおり朝は食事により便意をもよおしやすい時間帯のため、できるだけ朝食を抜かないよう心掛けましょう。

また食事の際は、野菜・海藻類・きのこ類など、食物繊維が豊富な食材を積極的に取り入れるのもおすすめです。

食物繊維は腸の運動を促進したり、便を柔らかくしたりする作用が期待できるため、便秘対策として効果的だといえます。

1日あたりの食物繊維の摂取量の目安は、男性（18〜64歳）で21ｇ以上、女性（18〜64歳）で18ｇ以上とされているため、意識的に取り入れましょう。

そして、水分をしっかり補給することも大切です。

水分を十分に摂ることで、便が柔らかくなり、排便されやすくなります。

逆に水分不足になると便が固くなり、痔の発生に繋がる可能性もあるため注意しなくてはなりません。

軽い運動やお腹のマッサージで腸の運動を促す

日頃から適度な運動を取り入れることで、腸の働きを促すことができます。

血流の滞りも便秘の原因のひとつであるため、血流を良くする意味においても運動が効果的です。

また、適度な運動は便秘の予防だけでなく、さまざまな不調の予防にも繋がります。

ウォーキングやジョギング、腹筋運動やストレッチなど、気軽に取り組める運動を習慣にしましょう。

さらに、腹部のマッサージも便秘対策に効果的とされています。

マッサージの方法はいくつかありますが、「『の』の字マッサージ」と呼ばれるものが、より手軽です。

お腹に両手を重ねた状態で当て、へその周りで「の」の字を書くように、時計回りにマッサージします。

これを反復して行うことで、腸の運動を促すことができるとされています。

簡単に、かつ短時間のうちにできるため、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら試してみてはいかがでしょうか。

ストレス解消や生活リズムの改善により自律神経を整える

胃や腸の状態は、自律神経によって保たれています。

そのため、自律神経の乱れの原因となるストレスを溜めないように心掛けることも大切です。

先述した軽い運動や、自分なりのストレス解消法を日々の生活の中に取り入れましょう。

また、自律神経を良好な状態に保つためには、規則正しい生活リズムを心掛けることも必要です。

便秘の症状によっては医療機関に相談を

便秘の症状

便秘を放置すると、重篤な症状に繋がる可能性もあります。

セルフケアできる程度の便秘であれば大きな問題はないかもしれませんが、以下のような症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。

1週間以上便が出ない
便が出にくい、残便感があるなどの症状が１ヶ月以上続く
便に血や粘液が混じっている
激しい腹痛や吐き気などがある
お腹にしこりがある

先述したとおり、腹痛を引き起こす原因にはさまざまなものがあります。

まずは医療機関にて、腹痛の原因を調べることが大切です。

また、ドラッグストアで購入できる市販の便秘薬や、腹痛用の薬もありますが、それぞれが異なる成分から作られているため、自己判断をせず医師と相談した上で使いましょう。

基本的に市販薬は、対応する症状や用法・用量をしっかり理解してから使うことが重要です。

まとめ

腹痛が起こる原因は、さまざまなものが考えられます。

過敏性腸症候群や便秘も、腹痛を引き起こす要因です。

症状がひどい場合や、腹痛以外の症状も併発している場合などは、医療機関の受診が求められます。

内科や消化器内科がある病院を選び、早めに受診しましょう。

一方で適度な運動、生活習慣の改善、ストレス発散など、便秘への対策として普段から取り組めることもあります。

便秘用の市販薬については、状況に応じて、また医師と相談した上で使用を検討しましょう。

なお、スギ薬局では各種便秘薬のほか、食物繊維を効率良く摂取できる商品などを取り揃えています。

腹痛のセルフケアや便秘対策の商品を購入する際には、ぜひスギ薬局をご活用ください。