更年期は身体にさまざまな変化が起こる時期ですが、「太りやすくなった」と感じる方もいるかもしれません。

若いときと同じ生活をしているだけでも体重が増加してしまい、理由が気になっている方もいるでしょう。

なぜ更年期になると太りやすくなるのでしょうか。

この記事では考えられる原因をわかりやすく解説します。更年期で太る人がいる一方、痩せる人もいるため、その原因についてもお伝えしていきます。

さらに、更年期太りに悩む方に向けて、日々簡単に取り組める対処法や気になる漢方薬についても紹介するので、ぜひ参考にして更年期太りの解消に取り組んでみてください。

更年期太りになる原因は主に2つ

そもそも更年期とは、女性の場合は閉経前後の5年間、およそ40代から50代の約10年間のことをいいます。

更年期には人によってさまざまな症状があらわれますが、体重が増加する方も多いようです。

更年期太りの原因は主に2つあり、加齢による基礎代謝・筋肉量の低下と、女性ホルモンの減少が関係していると考えられています。

それぞれ詳しく解説します。

加齢による基礎代謝と筋肉量の低下

更年期となる40代・50代は、10代・20代のときと比べて、筋肉量が落ちやすい傾向にあります。

筋肉量が落ちることで基礎代謝が低下し、脂肪がつきやすくなります。

基礎代謝とは、身体を動かさなくても消費されるエネルギーであり、呼吸や体温の維持、内臓を動かすために必要となるエネルギーです。

加齢のほか、生活習慣の乱れ、ストレスなども基礎代謝の低下に繋がります。

年齢とともに基礎代謝は低下しているのに、若いときと同じ食生活をしていると、エネルギーが消費されないため太りやすくなると考えられます。

女性ホルモンの減少

女性の場合、閉経前後になると女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が大きく減少します。

エストロゲンには脂質代謝をコントロールする働きがあり、エストロゲンが減少すると、血液中のLDLコレステロール（悪玉コレステロール）や中性脂肪が増加しやすく、肥満が起こりやすくなります。

そのため、若いときと同じ生活をしているだけで、太ったと感じやすくなるのです。

また、ホルモンバランスが崩れると、自律神経の乱れに繋がることがあります。

イライラして過食するのも、太る原因のひとつといえるでしょう。

更年期に痩せる場合の理由とは

更年期に太る方は多いですが、逆に痩せてしまう方もいます。

更年期障害の症状はさまざまであり、食欲不振・吐き気・下痢などが生じた場合は、必要な栄養が摂取できずに痩せることもあるようです。

また、先ほど女性ホルモンが減少すると太る人がいるとお伝えしましたが、逆に女性ホルモンの減少によって痩せる人もいるとされています。

更年期に太る人も痩せる人も、原因は同じというケースがあるのです。

更年期太りはいつまで続く？

更年期太り

更年期の女性ホルモンの減少による症状は、閉経前後の5年間に出ることが多いといわれています。

更年期のさまざまな症状には、50代後半になると身体が慣れる方が多いとされますが、人によって差が大きく一概に「何年で更年期太りが終わる」とはいえません。

更年期が終わると、女性ホルモンを原因とした更年期太りも治まる可能性もありますが、人によってさまざまです。

更年期太りを防ぐためにできること

加齢や女性ホルモンの減少による影響は完全に取り除くことはできませんが、太ることを防ぐには運動と食事に気をつけることが大切です。

ここからは、更年期太りを防ぐために日々取り組めることを紹介します。

運動して筋肉量をアップする

年齢とともに筋肉量は減少するものなので、体重増加が気になってきたら軽い運動を習慣にしましょう。

運動すると筋肉量がアップし、基礎代謝が増えるだけでなく、ストレス解消や気分転換になってリフレッシュ効果も期待できます。

これまで運動の習慣がなかった方には、軽いジョギング・ウォーキング・水泳などの有酸素運動をはじめることをおすすめします。

運動することが難しい場合は、階段を利用する、買い物に歩いて行く、家でスクワットするなど、無理なくできる範囲で身体を動かして、少しでも筋肉量アップを目指しましょう。

食生活を改善する

筋肉量が減少して代謝が落ちると、若いときと同じ食事をしているだけでも太りやすくなります。

無理な食事制限をすると身体に負担がかかるため、できる範囲で少しずつ改善していくことが望ましいです。

1日3食、主食・副菜・主菜をバランス良く食べ、油分や糖分の多いものは避けましょう。

大まかにカロリーを計算して、自分がどのくらい食べているのかを把握すると、食べすぎが防ぎやすくなります。

女性ホルモンの減少が気になる方の場合、女性ホルモンと似た働きをするとされる大豆イソフラボンの摂取もおすすめです。

大豆イソフラボンは、納豆・豆腐・豆乳・味噌などの大豆食品に含まれています。

大豆を食べれば、大豆イソフラボンのほかにも、たんぱく質やミネラル、ビタミン、食物繊維など、豊富な栄養が摂取できるため、必要に応じて意識的に摂取してはいかがでしょうか。

更年期の方が飲む漢方薬について

漢方薬

更年期太り対策として、漢方薬が気になる方もいるかもしれません。

漢方薬とは、中国の伝統的な医学で使われている自然由来の薬で、自然治癒力を高める考え方を大切にしています。

病気の治療だけでなく、更年期障害のように病気ではなくても身体が不調なときに使われることがあります。

漢方薬はさまざまな種類があり、複数組み合わせて飲むのが基本です。

一人ひとりの症状や体質にあわせて処方されるため、同じ症状でも人によって処方される漢方薬の種類が異なることがあります。

更年期で太る原因は人によって違うので、漢方薬を飲みたい場合はまず医師や薬剤師に相談しましょう。

自己判断せず、医師などのアドバイスを受けながら自分の身体と症状にあったものを選ぶことが大切です。

ただし、漢方は本来、身体のバランスを整えて不調を取り除き、健康にするためのもので、ダイエットを目的に作られたものではありません。

漢方は間違った使い方をすれば、効果がないばかりか副作用の恐れもあるため、注意が必要です。

まとめ

更年期太りになる原因は、加齢による基礎代謝の低下と女性ホルモンの減少であることが多いと考えられています。

更年期太りの対策として、有酸素運動などの軽い運動を習慣にしたり、食生活を改善したり、無理のない範囲で継続することがもっとも大切です。

どうしても更年期太りが気になる方には漢方薬という選択肢もありますが、漢方薬は決して「やせ薬」ではなく、症状に応じた不調の緩和を目的に使うものです。

漢方薬の処方は複雑なため自分で選ばず、医師か薬剤師に相談してから処方してもらいましょう。

スギ薬局でも漢方薬の取り扱いがあり、薬剤師に相談しながら自分にあった漢方薬をさがすことができます。

漢方薬が気になる方は、スギ薬局を訪れた際にぜひ一度ご相談ください。

【監修者】

川上先生

■プロフィール―――――――

かわかみ整形外科クリニック

院長・医学博士：川上洋平

神戸大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学に留学し、膝関節外科、再生医療、スポーツ医学を学び、神戸大学病院、新須磨病院勤務を経て、患者さんにやさしく分かりやすい医療を提供することを目的に、かわかみ整形外科クリニック（神戸市）を開業。

日本整形外科学会専門医。

https://kawakamiseikei.jp/

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